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07/27/2007

スローフードやスローライフの運動

社会学者の宮台真司さんのブログから一部引用します。

■どの社会にも「自己実現に結びつく仕事=創意工夫の必要な仕事」と「自己実現に結びつかない仕事=創意工夫のいらない仕事」があります。「自己実現に結びつく仕事」はどの社会でも稀で、今日ではかつてよりも稀少になりました。成熟社会化(汎サービス産業化)で熟練仕事が減って「役割とマニュアル」に基づく仕事が増え、転職頻度が上がって職場での人間関係が希薄になったからです。
■とはいえ「創意工夫の必要な仕事」をこなすエリートの質が、企業が生き残れるか否かを決めます。要は「役割とマニュアル」を創出する側の人材ですね。優秀なエリートを選抜するには、「仕事での自己実現」が可能だと思い込んで競争する若者が多いほど都合がいいので、若者をそちら方向に煽ります。
■でも「仕事での自己実現」が可能な人間は一握りです。煽り言葉を真に受ければ、社会に大量の失意と落胆が生まれます。それだと社会不安になるので、資本は別の道を用意します。「仕事での自己実現」の代わりに「消費での自己実現」を目指す道です。ブランド物やハイテク品を買わないと幸せになれないと誘導し、システムに組み込むわけです。
(中略)
■ではどうすればいいか。「仕事での自己実現」からも「消費での自己実現」からも降りて、「仕事外での非消費主義的な自己実現」を目指すことです。昨今の「勝ち組・負け組」という言葉が象徴するのは、自己実現が「仕事での自己実現」か「消費での自己実現」しかあり得ないという思い込みです。まず、この思い込みを解除することが必要です。
■でも、それだけじゃ足りない。「仕事外での非消費主義的な自己実現」を可能にするのは、「役割とマニュアル」ならぬ「善意と自発性」が原理となる生活世界でのコミュニケーションや関係性です。そういう生活世界が現に存在しないとどうにもなりません。先の言い方では「座席を増やす」ことが必要なのです。
■南欧発のスローフードやスローライフの運動は、「仕事外での非消費主義的な自己実現」の基盤である生活世界を、護持することが目的です。グローバル化は「役割とマニュアル」が支配する匿名的関係を拡げ、「善意と自発性」が支配する記名的関係を壊します。これはマズイというのが運動の本旨です。有機野菜を食べるかどうかの問題ではありません。

(宮台真司「MIYADAI.com blog」「仕事での自己実現」と「消費での自己実現」しかないという思い込みをやめよ)
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=252

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